北海道

ちょっとだけ北快道 二〇一七年八月

【第一日目】 珍重の夏

午後四時過ぎ、白老町のアイヌ民族博物館(二〇一八年三月閉館、二〇二〇年七月ウポポイ民族共生象徴空間として開業)に到着。閉館まで、あと一時間。

【他の記事も見る】JALの機内で“ありがとう”という日本人はまずいない 

ゲートを入ってすぐの所で、ヒグマを飼育している。初めて見る生ヒグマ。「死ぬ」と思った。こんなデカイ奴に道でばったり出会ったら「確実に死ぬ」と思った。

ツキノワグマが、チワワに思えるくらい、ヒグマは威容を誇っている。アイヌの古民家が五棟ある。想像していたのよりかなりデカい。それぞれの古民家ではイベントが催されている。

アイヌの話、それに歌や踊りなどが見られる古民家に入る。まず、アイヌの話だが、民族衣装の小父さんが、北海道の地名とアイヌ語の関係について説明してくれる。

この小父さん、客をイジり、笑いを誘うのが上手い。こちらも万全のボケで応えますとイジられるのを待っていたが、スルーされ、一抹の寂しさを味わう。終始、和やかな雰囲気で、小父さんの話は終わった。小父さんは、マイナンバー制度が始まって、アイヌも日本人と同じようにマイナンバーを持つようになったと言う。

僕は、アイヌは北海道や本州北部に大昔から住む日本人という誤ったイメージを持っていたことに、今更ながら気付かされる。自分たちは日本人ではなく、アイヌという独立した民族だとの誇りが、小父さんの言葉から伝わってくる。