その将太が中学を卒業すると、相撲部屋に入門し地元を離れた。その後は、剛史がデカイ顔をするようになった。他の仲間たちは、それぞれに仕事をし、大人になっていったが、剛史は、仕事をやっても続かず、相変わらずフラフラしていた。
「本当に、久しぶりだな、お前、今何をやっているんだ?」
「一応、大学生です」
それを聞いた剛史は、禅の連れを見て言った。
「大学生ってのは、こんな感じなのか?」
剛史は思い出したように言った。
「聞いたぜ、お前、商店街で店をやってんだろ?」
「ええ、まあ……」
「最近の大学生はすごいねぇ……って言うか、大学生をやった事がないから、良く分からねえけどな」
剛史はそう言うと笑った。
「そう言えばバスケ、まだやっているのか?」
禅は、嫌な奴に会った上、一番触れられたくない所に触れられた。
「いえ、もう辞めたんです」
「え?辞めたの?」
「ええ」
禅は、それ以上その話には触れてほしくなかった。しかし剛史は、相手の気持ちなど気にするような人間ではない。
「なんで辞めたんだよ」
「怪我をしたんで……」
「それは残念だったな、まあ、人生はそんなもんだよ、気にすんな」
「そうですね」
禅は思った。〝こいつだけには言われたくない〟