発達障害の傾向が問題となるかどうかは、こだわりの強さや他者や社会に対する自閉症的な傾向の程度だけではなく、職業選択や環境的許容度によっても影響されます。ADHDの傾向が強い人は、また違った印象です。どちらかというと、ASDの傾向が強い人のほうが、早期に自分の特徴と社会の軋轢を感じ、退職に至っているようです。
一方ADHDの傾向が強い人は、継続的に就労している印象があります。しかし周りの人への影響や、気づくまでの生活状況の悪化は大きいように感じます。
前述しましたが、細かなことが状況依存的に起き、周りの人がほとほといやになっていることもありますが、本人が仕事上のことから発達障害の傾向に気づく時には、かなり大変な状況になっていることもあります。
お酒などの依存症との関係も指摘されていますし(星野仁彦、2010『発達障害に気づかない大人たち』祥伝社91ページ参照)、片づけられないことから家の中の物の問題もあります。また、子どもの相談で発達障害を指摘され、自分もそうかもしれないと気づくことも少なくありません。