「接し方がわからない」「予想外の反応に戸惑う」大人の発達障害に悩むのは本人だけじゃない。
長年、医療福祉相談員として働いてきた著者が語る、ともに向き合い、仕事をしていくうえで必要なことを解説します。
発達障害の傾向に気づく
患者としてメンタルクリニックを訪れた人や就労支援で面接した人のエピソードです。彼らは、ある時気づき、仕事ができない、仕事がつらいと思い、ほぼ退職に至っています。
本人が過去を振り返って話してくれた事柄です。以下〔 〕は、補足です。
理解のない非協力的な人だと思われてしまう
○パソコンで作図をする仕事で入社。「ボクはひとつの仕事をしていると、それに集中してしまうので、周りからいろいろ言われるとイライラしてくるんです。
特に、やっている最中に「これもお願い」と“挿し込み”があると、イラッとして、そのあとのパフォーマンスも下がるんですよね」、「いまやっているの、わかっているだろ?じゃあ、(いまやっている)これはどうしたらいいんだ」と混乱しています。
だんだんと仕事に遅れが出て、一時部署を替えてもらったが、それでもほかの人よりは遅れが目立つようになり、気持ちも落ち込み退社に至った。
〔このように、ひとつの仕事に集中することはできるが、途中の依頼などで反応を起こし、怒ったり不機嫌になったり、フリーズしたりパニックになったりする人がいます。自分の想定から外れることが多いと、仕事もだんだんできなくなり、職場全体の仕事の流れは見ることができないので、周りの人からは理解のない非協力的な人と思われ、孤立しがちになり人間関係もうまくいかなくなります。次第にうつ的になり、退職に至ることも多いです〕