第四章 実際の教育活動の中で輝く「教育哲学」
(1)勉強編~子どもはなんのために学ぶのか~
では、どうしたらよいのでしょう。ここで教師の出番です。子どもに必要だと思わせればよいのです。
私が考える「勉強の目的」は、3つあります。1つめは「学んだことを自分の生活の役にたてるため」です。人は学んだことを生活の中に生かすことで、人生を輝かせ、充実させることができます。
例えば私の教える社会科では、「民主主義」について学びます。民主主義の本質は、「一人ひとりが考え抜いた自分の意見をもつこと」と「少数意見の尊重」です。それを勉強すると、今まで安易に多数決に流されていた学級会が変わります。
このように、実生活に役に立つと思えば、勉強が少し楽しくなります。事実、私自身は今、勉強することが楽しくて仕方がありません。
なぜなら、学び考えたことを、教育現場で実践することができるからです。そしてそれを、子どもへの教育に還元できるからです。学んだことがそのまま、私の生活になっていくのです。
私の実感では、目的が明確な本当の学びは、社会に出てからの方が多いように思います。よって学校では、そのための基礎学力や、学ぶ姿勢を身につけることが大切だと思います。そのための授業の工夫については、この後の「授業編」で詳しく書きたいと思います。
2つめは、「人に喜んでもらえる力をつけるため」です。
古代ギリシャの医業に携わる人々が行ってきたことの一つに「ヒポクラテスの誓い」というものがあります。これは新しく医師になる人はみんな、自分が勉強して得た知識や技を、人を助けるために用いるということを誓うというものです。