急変時の症状としては、喘息では発作(attack)、そしてそれに相当するのが発達障がいではパニックにあたります。これらは、早急に対処が必要なものです。

また、目には見えなくとも、周りが注意すればわかる症状も両方に存在します。喘息では聴診器でしか聞こえない喘鳴、発達障がいでは不注意型のADHDです。いずれも早急ではありませんが投薬など治療が必要となります。

さらに、誰もが見てわかる症状である喘息の咳や肩呼吸に相当するのが、発達障がいでは多動・衝動型のADHDにあたります。多動・衝動型ADHDも喘息ほど早急ではありませんが、投薬など治療が必要になります。

環境増悪因子としては、喘息ではタバコや線香の煙・ペット・畳・じゅうたんについているダニ・ほこりなどがあります。これらによって喘息のお子さんの症状はひどくなり、発作が始まります。

一方、発達障がいでは、いじめや親・教師の発達障がいに対する無理解な態度などが挙げられます。このようなことが引き金となって、発達障がいのお子さんは突然、パニックを起こすことがあります。

ですから、喘息のお子さんは煙やほこりなど発作を誘発するような環境を避けて整える必要があるのと同様、発達障がいのお子さんもいじめや親・教師の発達障がいに対する無理解な行動をさせないなど、パニックを誘発するようなことが起きない環境を整えてあげる必要があるわけです。

どちらも症状を引き起こさず、悪化させないで予防することが大切です。喘息やアトピー性皮膚炎などの慢性疾患を抱えていても、多くの方は社会で活躍しています。当然、発達障がいも同じようなことが十分に考えられるのです。

[図1]発達障がいと喘息の比較