一方、Mさんはがんの末期で訪問診療を行っていました。しかしターミナルを迎え息子さんの家へ引き取られることになりました。私とは別れになりましたが地域の先生との連携があり何よりもご家族と過ごされる時間ができMさんには幸せな別れのような気がします。
肺がんのHさん、胆のうがん末期のHさん、進行大腸がんのIさんの場合も幸せケースです。それまで独居で生活されていたHさんは病気をきっかけに嫁いだ娘さんの家に引き取られて生活されています。多発した肝転移のあるHさんの場合も同じです。
Iさんの場合はがん性腹膜炎の状態で腹水が溜まったことが受診のきっかけでしたが今は腹水も消えました。それまで独居だったIさんを心配し娘さん達が移り住み、今ではひ孫を交えた大家族で生活されています。
Mさんを含めご家族と同居された皆さんが当初の予想よりもお元気です。余命幾許もないと予想された皆さんがお元気に過ごされていることはうれしいと同時に驚きです。ご家族と一緒に過ごされることで免疫力が高まったのでしょうか。
それにしても独居の高齢者の方が多いことに驚きます。この日診療を受けた84歳のSさん。「ここが好きで今でも通院したいが車の運転が困難になって来ました。近くの医院を紹介して頂ければ」と言われました。また一人生き別れとなりそうです。
今まで独居で頑張ってこられた方が高齢者アパート利用や施設入所となった時その家は空き家になります。全国の空き家数820万です。