これでは、かたい玄米を消化するのは無理ですね。玄米が健康にいいからとがんばって食べても、胃に負担をかけるだけで、肝心の栄養成分を取り込めません。この問題を解決するには、玄米を丸ごとペースト状にするしかなかったのです。

すぐれた食品であるのに、まずいから、かたいから、消化できないから、と見捨てるのは、本当にもったいない話です。

自然の恵みを大切にして、その栄養成分を最大限に生かす道をこれからも探っていきたいと思っています。

こうして、有機玄米の手当てがつかないままに、時間だけが流れていきました。

この間、ただ手をこまねいていたわけではありません。所長の田んぼでとれた玄米を使って、玄米スープの研究を着々と進めていました。

所長の作った玄米スープは、粒子が粗く水っぽくておいしくないうえに、すぐに腐ってしまうのです。でも、所長は食品の専門家ではないのですから、ここまで作っただけでも驚嘆すべきことでした。