「いいですとも。午前中にすぐにやっておきますわ」
量子力学で博士の学位を授与され、偉大なるノーベル賞受賞者の秘書でもあるマグダ・フォン・ブーロフ。その彼女の声のトーンには、一体何の理由でプランクが今電話をかけてきて、このような指示をしようとしたのかが理解できないでいるという気持ちが込められていた。
「もうひとつ頼みがあるんだ、マグダ」
プランクは、再びほんの少しの間、沈黙した。
「ニコラ・テスラ氏の執務室の電話番号を探して、連絡を取ってほしい。ベオグラードのテスラ研究所のところです」
「えっ?」
女性助手は、今やもう完全に覚醒していた。
「どんなご用件ですか?」
「お願いしたいことがある。まずは電話をして、それから大学のレターヘッドの付いた正式文書を送って頂き、私がベオグラードを訪れる際にテスラさんと会うアポイントを取って頂きたい。テスラさんがきっとご興味をお持ちになる新しい科学的発見について話したいと伝えてください。書き留めましたか?」
「書き留めました」
と、彼女は答えて、
「先生は明日、いつもの時刻にいらっしゃいますか?」