ものごとへの働きかけ力は、さらに高度な行動力を要します。他人を巻き込むためには、理論と情熱というふたつの要素を同時に発揮しなければなりません。だからといって個人的な興味を他人に強制することはできません。

自分の利益、他人の利益、組織の利益には対立する部分があるのが通常です。その課題を認識し、全体の利益を調整するようにリーダーシップを発揮することで人が動くのです。

次に実行力です。単に行動力があるだけではいけません。目標を設定しスケジュールを組み立て実践していく力が必要です。目標達成能力ともいえます。絶えずものごとの進捗状況を確認し、着実に成果を上げる力です。次に思考力について考えてみましょう。社会人基礎力における思考力も行動力同様、3つに分けられます。課題発見力、計画力、創造力です。

日々の仕事では次々と課題が出てきます。その課題をどう捉えるかによってその後の仕事の展開が変わってきます。課題を正しく認識できなければ事態を悪化させるばかりか、企業の存立を危うくするようなことにもなりかねません。課題を発見するということは、ネガティブな出来事を乗り越えようという意志がなければなりません。

認識した課題を効率よく解決するためには、計画力と創造力が必要とされます。計画力は課題発見力の深さに影響されます。分析が不十分なまま計画に着手しては決してうまくいきません。たとえ計画書を作っても、それは単なる作文になってしまいます。

創造力を持つことは多くの方が不得意といえます。創造力と思いつきをどのように見分けるのかが大切です。過去の経験をそのまま当てはめてもものごとがうまく運ばなくなった現在、創造性の役割がますます重要な要素となっていることは間違いありません。

最後にチーム力です。ここには発信力、傾聴力、柔軟性、状況把握力、規律性、ストレスコントロール力といった6つの要素が並びます。行動力、思考力がいかに優れていてもチームにうまく溶け込めない人がいます。チーム力が企業の業績を大きく左右しますので、その力を身につけることはとても大切です。

同じチームのメンバーにわかりやすく伝える発信力、相手の意見を正しく理解できる傾聴力はともに重要です。当然意見のぶつかり合いはありますが、お互いの意見の違いをしっかり理解し、その都度調整する柔軟性が必要です。

チームで活動しますと大きな流れが生まれます。動いている間は、果たしてその流れが正しいのか間違っているのかが見えなくなることもあります。そこで状況を正しく把握する力を身につけなければなりません。規律性、ストレスコントロール力は自分の感情をいかに調整してチームの利益につながるように行動できるかに深くかかわってきます。

ここで紹介した行動力、思考力、チーム力の3つの要素については次の章で詳しく述べていくことにします。