恐るべきことに会っている時間よりも、会えない日、連絡のない日が続いたほうが私の心はざわめいた。私は圧倒的に恋愛体質だった。
恋愛に幸せを求めず、むしろわざと苦しみを見つけては自分を追い込んでいる気さえする。まるで苦しむことこそ恋愛の醍醐味だと言わんばかりに。
そして事件は起こった。『ピンクらぶ』に出勤すると、休憩室で私がショウ君にあげたものと全く同じブランドのチョコレートを頬張る女の子がいたのだ。
私はハッとして彼女を見た。すると彼女もこちらをちらりと見て、私の視線にあからさまな不快感を示した。慌てて目を逸らす。
「そのチョコレート、誰にもらったの?」
そんな言葉が喉元まで出かかった。しかし私は聞けなかった。それは源氏名も知らぬような同業者に話しかけることに気が引けただけではない。真実を確かめることが怖かったのだ。
ショウ君とは、この店で知り合った。他の女の子とだって、遊んでいるのかもしれない。
私があげたチョコレート、食べずにこの女の子に横流ししたのだろうか。そうなのだとしたら、この女の子こそがショウ君の本命なのだろうか。
悪い予感ばかりがぐるぐると脳の中を支配していった。このままではおかしくなってしまいそうだ。連絡のない毎日に加え、昨日の事件で私の心は疲弊しきっていた。