第一章 発達障がいに悩む人たち

学校に行けなくて困っている子どもたち

また、小・中学校、高校と周りの人たちと同じように勉強するだけが選択肢ではないということも知っておいてください。

デンマークには自閉症専門の学校まで用意されていますが、日本では残念ながら発達障がいのお子さんを専門に教育してくれる学校が整備されていません。国や自治体、教育委員会といったところも含めてまだまだ改革が必要ですが、少なからず進路の選択はできるようになりました。

最近、教室に馴染めないお子さんのために、別室で主に算数と国語の授業を少人数で受けることのできる特別支援学級が、多くの小・中学校で設置されるようになっています。音過敏のある自閉スペクトラム症のお子さんも、うるさい普通クラスよりは少人数の静かな特別支援学級の方がいいのです。

私のクリニックへ来ている不登校の患者さんの多くは、鉛筆の書く音やイスのギーギーする「音」が嫌で行きたくないと言っています。そういう音過敏のあるお子さんにはイヤーマフという工夫をしています。

障がいを持った人たちが小・中学校、高校に準じた教育を受けられるための特別支援学校というのもありますし、高校になれば、好きな時間に行って3年間で74単位をとれば卒業資格のもらえるフレックススクールや、主に家庭で学習する通信制など、いろいろなケースに合わせて学校が選べます。

このように選択の幅はあるのですが、親世代に馴染みがないこともあり「うちの子は他の子と同じように一般的な(普通の)学校に行く」と親御さん自身が頑(かたく)なになっているケースも少なくありません。