第2章 変遷する発達障害

発達障害のタイプ

発達障害は、いくつかのタイプに分かれますが、アスペルガー症候群においては議論が多く、障害名もアスペルガー症候群から広汎性発達障害、現在、DSM‐5において自閉症スペクトラム障害ということで落ち着いています。スペクトラムは、連続したひとつのものという意味です。

(ちなみにスペクトラムspectrumは英和辞典では人々や考え、状況の変動範囲(『ウィズダム』第4版)というような、内容的には変動していてもひとつの連続体として認識できるものという意味ですが、物理や光学の用語としての、光を分光器によって波長順に分解したスペクトルと一緒に出てきます。スペクトラム=スペクトルということになりますが、光に関するこのスペクトルという日本語の呼び名はspectreというフランス語から来ているようです。)

自閉症スペクトラムについて非常にわかりやすく書かれているものがありますので、載せさせていただきます。DSM‐5で広汎性発達障害から自閉症スペクトラム障害になったことをうけて、

「一方スペクトラムとは連続体のことである。たとえば、光のスペクトラムである虹の色はどこまでが赤でどこまでが黄色といった境界線を引くことはできず、赤から紫までの色が変化していく。

自閉症スペクトラムにおいても、重症の者から軽症の者まで境界線を引かずに連続していて、その最も軽い群は、従来から指摘されてきた広範な自閉症発現型(Broad Autism Phenotype:BAP)に連続的につながっていき、さらにその外側に一般のちょっと変わり者に連続していく。