【前回の記事を読む】現トランプ政権は、第二次世界大戦前のアメリカに似てる。ドイツ日本を窮地に追いつめ大戦に発展させた関税政策を、また…
はじめに
私は、少額投資家ながら過去の長い投資経験から、世界が大きく変わるとき株式相場には大変動が発生するように感じています。すなわち、株式市場における個々の企業の株価の変動は、各企業の現在の状態を示しますが、そうした個別の企業の株式の値動きとは別に、株式市場全体の値動きを示すものとして株式指数というものがあります。
これは複数の企業の株価を一定の計算式で数値化したもので、投資しようとしたときに相場を確認するための「ものさし」となるものです。日本の代表的な株価指数には、日経平均株価(日経225)と東証株価指数(TOPIX)があります。海外においては、米国のニューヨーク・ダウ、S&P500、ナスダック総合指数などが代表的です(1)。
こうした株式指数の変動は、景気の変動の兆候をいち早く知らせる性質があるとして「炭坑のカナリア」と言われることがあります。
私は、この株式指数の変動は、景気の変動の兆候をいち早く知らせる性質に加え、社会の革命的変化あるいは世界の地政学的な大変化が発生するとき、誰の目にもそのことが明らかとなるのに先立って、遅くとも数年前から、株式相場(具体的には株式指数)の異常な大変動――すなわち株式相場の大暴騰ないし大暴落――として表れるように思われます。
言い換えれば、株式相場の大暴騰(いわゆる株式バブル)や株式バブルの崩壊あるいは大暴落の発生は、単なる経済現象ではなく、近い将来の社会的ないし地政学的大変化の前触れと見ることができるように思われます。
その例として、有名な一九二九年一〇月の暗黒の木曜日と呼ばれるニューヨーク・ダウの大暴落を取り上げます。一九二〇年一月にはニューヨーク・ダウは、約七〇ドルだったものが一九二九年九月に約三八〇ドルまで上昇しました。しかし一九二九年一〇月に暴落を始め、一九三二年七月には約四一ドルの底値を付け、その後も低迷しました。
私には、これはアメリカがそれまでの世界の覇権国であったイギリスに代わって世界の覇権国となりつつあったこと、しかしアメリカがその役割を引き受けないことが明らかとなり、世界秩序の将来の不安定化(さらには第二次世界大戦発生の危険性)を市場が予見した結果、暗黒の木曜日と言われる一九二九年一〇月二四日のニューヨーク・ダウの大暴落とその後の低迷となって現れたのではないかと思われます。