【前回記事を読む】スイス留学中、寄宿学校で「お水を、パンを」となんでもメイドに頼むようになり…“お嬢様”に慣れてしまった。日本に帰ってママに言ったら…

第1章 スイスの全寮制寄宿学校に入学

お誕生日

朝7時は起床の時間です。

今日はかりんの誕生日です。

仲良しの友人たちが、突然部屋にやって来ました。

「パンパラパン!!」

「♪ハーピバースデイ、ツーかりん……」と歌が始まりました。

こんなことをしてもらえるのも寮だからこそです。

かりんはまだ起きたばかりで頭がぼうっとしていました。

そして友人たちから小さなお誕生日プレゼントをもらいました。メモ帳やシールなどで日本人の友人からのプレゼントとは比較出来ないほど質素なものでした。

彼女たちは毎週1回「ポケットマネー」という日があります。学校が親御さんからお小遣いを預かり、毎週10スイス・フランほどを彼女たちに渡す日のことです。

このお金から切手代や町に出るバス代などを出すので貴重なお小遣いです。その中からプレゼントを買ってくれたのです。

みんなありがとう。こんなに心のこもったお誕生日は一生の思い出です。そんな時、シャロンがぽつんと言いました。

「去年、私のお誕生日は両親と妹のデイジーと一緒に防空壕の中だったの」

シャロンと妹のデイジーはもともとアメリカ人でした。父がアメリカ人、母がドイツ人。父が亡くなり、母がリビア人と再婚してリビアに住んでいましたが、激しい内戦のため祖父のいるドイツに亡命したそうです。

「今度のお誕生日は家族で楽しく過ごしたいの」

大丈夫よ、シャロン。今度のお誕生日は絶対に家族と楽しく過ごせるよ。