【前回記事を読む】医大教授の元に突然、大柄の男が…「いいから」と一方的に押し入られ、見せられた“あるもの”に寒気。その目的は…
第一章 プロローグ
晴天の霹靂(へきれき)
平成25年6月10日
「これを見てください」三井が1枚の紙を梅澤の目の前に突きつけた。
「捜査令状 研究費詐欺容疑 北陵医科大学研究棟5階 梅澤教授室……」という文字が読めた。
「何かの間違いでしょう」
梅澤が言い終わらないうちに、
「読まれましたね。今から教授室を家宅捜査致します」と三井が宣言した。
「私は、回診がありますので、どうぞ、勝手に調べてください」
梅澤は、腹立ちを抑えて告げた。医局で回診を待っている人達のことの方が気になった。「いえ、教授も同席してください」三井が威圧的に言った。
これ以上抵抗すると事態が悪化すると感じて、今日の回診は欠席することと、代理を中田准教授にお願いすることを秘書に伝えた。
「我々が、部屋の中を捜査しますので、教授はそれを見ていてください」三井が宣言すると同時に6人の刑事が教授室内の捜査を開始した。
「研究費の詐欺?」思い当たることなどない。