最初にHOC510が納入されたのは、日本鋼管福山製鉄所の転炉でした。

転炉は、溶鉱炉で生産された真っ赤に溶けた液体状の銑鉄を、巨大な耐火煉瓦で内張された鋼鉄製の壺に注ぎ込んで、パイプで高圧酸素を吹き込み、最終的に高質な鋼鉄を得るものです。

銑鉄は、かなりの不純物を含み、その大部分が炭素で、その他の不純物も含みます。冷やしたところで強度があまり出ません。

溶けた銑鉄は、流動性が高いので、砂鋳型に流し込んで冷却し、所謂鋳物を造るのです。

銑鉄は赤熱した液状で転炉に注ぎ込まれ、不純物が溶け込んだ銑鉄に高圧酸素を吹き込む事で、いわば燃やして炭素などを焼き尽くすのです。

昔から転炉の操業を取り仕切っていたのは、宿老と呼ばれていた転炉操業の熟練作業者でした。転炉に吹き込む酸素流量が品質に大きな影響を与えます。

そのうえ、仕上がり時間、即ち取り出し開始の決定もタイムリーに行う必要があります。

宿老は、この判断の責任者です。転炉の計算機制御とは、プログラムにより、炉内不純物と酸素の化学反応をシミュレートして最適酸素流量とし、仕上がり時間の数値を計算で求めるものです。

宿老の結論と、計算機の演算値は、相当一致していたそうです。この成功は国内外で注目を集めたそうです。なにしろ文章で表現できない職人の技に頼る事なく、完璧な再現性で自動化出来たからです。

次回更新は10月30日(金)、14時の予定です。

 

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