「母には幸せでいて欲しいから、邪魔したくないの。会うわけないわ」

「会いたい時もあるだろ?」

「プーさんがいるもの。家を出ていく時、母が縫いぐるみのクマのプーさんをくれたの。今もそれを抱いて寝てるわ」

「やっぱり、君はお嬢さんだ」と言って神矢が笑った。

「ねぇ。絵はいつできるの? いつ見せてくれるの?」

「まだまだだよ。できあがったら、君のヌードを見られなくなる」と言ってまた笑った。

「今日はもういいよ。さぁ、服を着て、こっちへおいで」と言って、神矢は画材を片づけ、ダイニングに行ってしまった。

私は服を着て、彼のあとへ行った。「お飲み」と言って、いつものコスタリカを置いてくれた。

「『ココ』へは行ってるの?」と私は聞いた。

「あぁ。君のいない時にね」

「どうして避けてるの?」

「さぁ、どうしてかな? 君はやっぱり毎日お昼に行ってるらしいね」

「マスターから聞いてるのね」

「いつも、ステンドグラスの窓の下の席に座ってる」

「そうよ。私の心の教会よ」

「何を祈ってるの?」

「ひ・み・つ!」

貴方が幸せであるように……そんな事、言えなかった。

 

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彼の言った一言で、私は悲しくなった。さっきまでお互いニコニコと見つめあいながら食事をしていたのに…

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