【前回記事を読む】遺産1000万円、兄弟2人。だが、弟だけが生前に100万円贈与されていたことが発覚した──この場合、弟の相続分は…

第1章 遺産分割(石塚大介弁護士)

4 具体的相続分

(3) 寄与分

③寄与分の成立要件

民法第904条の2からは、以下の成立要件が必要です。

・相続人自らの寄与があること。

・特別の寄与があること。

・相続開始前の行為であること。

・被相続人の財産が維持又は増加したこと。

・無償であること。

④寄与分の評価基準時

寄与分の評価時点は相続開始時です。

⑤寄与分の類型

寄与分の類型はいくつかに分かれます。家事従事型といわれるものは、被相続人の事業に関する労務を提供したような場合です。金銭等出資型といわれるものは、被相続人に対して金銭を出資した場合です。療養看護型といわれるものは、被相続人に対して療養看護に従事した場合です。

⑥寄与分の計算方法

寄与分を計算する際は、まず、相続財産から寄与分を控除します。寄与分を控除した相続財産から分配額を計算します。寄与者は分配額に寄与分を加算することになります。

⑦特別受益と寄与分を主張する場合の期限

改正前民法では、遺産分割協議には、特に期限は設けられていなかったため、遺産分割協議をしないまま放置していても何ら問題はありませんでした。

しかし、令和5年施行の改正民法では、遺産分割協議において特別受益と寄与分の主張をする場合の期限が相続開始の時から10年と定められることになりました。なお、相続人全員が具体的相続分による遺産分割をすることに合意したケースでは、具体的相続分による遺産分割が可能です。

改正民法は、令和5年4月1日に施行されましたが、すでに相続開始から10年を経過している事案や改正民法施行後すぐに10年を迎えたという事案についてのルールは以下のとおりとなっています。

ア 改正民法施行時に、すでに10年が経過している場合

改正民法施行時にすでに相続開始の時から10年を経過していたとしても、直ちに権利を失いません。この場合には、改正民法施行時から5年以内であれば特別受益及び寄与分に関する権利を主張することができます。

イ 改正民法施行前に相続が開始し、施行後5年以内に10年が経過する場合

改正民法施行日前に相続が発生(被相続人が死亡)しており、改正民法施行後5年以内に相続開始の時から10年が経過する場合も5年以内であれば特別受益及び寄与分に関する権利を主張することができます。