第1章 医療

人間らしく

フランスの体育士ジネストさんらが開発した認知症ケアのテクニック「ユマニチュード」が注目されています。

この手法を用いれば、今まで話をしなかった認知症の方が話をするようになったり、介護に協力的になる。にわかには信じられない夢のような話です。実際には「人間らしく」の理念の基に「見つめる」「語りかける」「触れる」「立たせる」の4つを中心とした50種にもなる介護技術です。

ただ記述を読んだだけではなかなか理解しにくい。そのため全国各地で講演あるいは実地指導が行われています。また実技指導のためのDVDも発売されています。でも定価8000円未満のDVDが20万円近くのプレミアム価格となる程引き合いがありなかなか手に入りません。

それだけ認知症介護に携わる方々が日頃苦労され、何とかしたいと考えている心の反映かと思います。

さて当地でずっと続いている「いきいきネットワーク」でも最近の一番の話題は「認知症ケア」です。皆さんの要望により私が「ユマニチュード」を紹介した時の反応は様々でした。

「何を今更。私達だってずっとやって来ていることだ」
「理屈はわかるが沢山の方をケアするのに時間が足りない。とてもやっていられない」。

そんな中で「私達も取り組んでみたい」との反応も沢山ありました。

相手を見つめ話をして触れる。人間関係を構築する上で基本的なことです。化石医師も医療を行う上でいつも心がけてきたことです。