第1章 医療
食べられなくなった時
高齢者の方を診ていて一番悩むのは食べられなくなった時どうするかです。
もちろん身体の他の状態も影響してきます。寝たきりで意識はなく動くこともできない。動くことはできないが意識はあり話もできる。後者の場合はきちんと栄養補給を考えてあげないといけません。
問題は前者のように心肺機能は問題ないが動けず意識もない。どんなに頑張っても回復は見込めない。いくら介助しても経口摂取できない。そんな時どうするか?
市の健康福祉祭りの時、機会があって住民の方からアンケートを取りました。寝たきりで回復の見込みのない状態で食べられなくなった時皆さんならどうするか?
① 末梢点滴(手軽ではあるが栄養は摂れない。ある意味気休め)
② 中心静脈栄養(感染予防が問題になるが栄養は摂れる)
③ 鼻から管を入れた鼻管栄養(手軽ではあるが肺炎を生じやすい。意識ある者には苦痛。しかし栄養は摂れる)
④ 胃ろう(患者さんの苦痛はなく感染の危険も少なく栄養も摂れる)
⑤ 何もしない。
163名の市民の方がアンケートに協力して下さいました。結果は自分自身だったら何もしないがなんと130名でした。ただご家族の場合だと何もしないとの回答は66名に減少し、せめて末梢からの点滴はして欲しいとの希望がありました。
栄養補給法別では自分、ご家族を問わず何と末梢点滴が一番であり次いで中心静脈栄養、胃ろう、そして鼻管カテーテルからの栄養の順でした。