「にやん太郎、よく帰ってきたね」と言って、智子ママは喜んで僕をキャリーバッグに押し込み、あのヤブ医者じゃなくて、きっと別な病院に連れていってくれるだろう。

大丈夫だ。もう覚悟はできている。

足の痛みは大分薄らいできたので、引きずりながらどうにか歩ける。

僕は足を引きずって、ふらふらと歩き出した。途中休みながら歩いていると、頭がボーっとしてきた。

ふと気がつくと、目の前に智子ママの家が見えた。玄関が開いていて、男の人と話している智子ママの姿が見えた気がした。

急いで、その男の人の足元にすり寄っていった。二人とも気難しい顔をして話していた。

「ママ、僕だよ」と言ってよく見ると、人違いだと気づいた。

僕は恥ずかしくなって、すぐに玄関から飛び出した。

外は北風が吹いていて、寒かった。

足の痛みが少し強くなったようだ。

早く智子ママに会いたい。でも智子ママの家は、どっちのほうだっけ?