この新しい時代において、人間が求められるのは、他者を導くリーダーではない。
自らの方向を見出し、照らす者──それが〈ヘッダーシップ〉である。
「ヘッダーシップ(Header-ship)」とは、“頭(Head)に立つ者”ではなく、“方向(Header)を示す者”の意味である。
リーダーが「上に立ち、他者を統率する」のに対し、ヘッダーは「共に並び、全体の進む方向を照らす」。
ヒエラルキー社会のリーダーシップは「支配の構造」であったが、AI社会のヘッダーシップは「共創の構造」である。
AIが情報の方向を示すなら、人間は意義の方向を示す。AIが最適解を導くなら、人間は“生きる意味”を導く。その役割転換こそが、AI時代における人間の再定義である。
では、この新しい時代に我々は何を指針とすべきか。
それが、本書の中心概念──『自分経営』である。
“自分経営”とは、単に自己管理や自己啓発を意味しない。それは「自分という一つの組織体を、社会に価値を生む経営体として運営する」ことである。
著者が提唱し人間科学の中心的課題を多くの場面で解決してきた「人と組織と社会の生産性理論」である『FFS理論』や、自分経営の基礎力を獲得し人間力を向上させる手法である『四行日記』については、この後の頁で簡単に解説しておく。
なお、読者が『自分経営』の力を向上させ、『ヘッダーシップ』を発揮するためには、
「自分の強み・弱み・思考・感情・時間・関係性の把握」から「他者と補完関係」を築きながら、
自分や社会の生産性と“幸せ度”を同時に実現するために著者が提唱している「FFS理論や四行日記など」は、思想であり哲学であり、
それを実現する技法が「AI時代の生存条件」となり、同時に成熟条件でもあると理解されたい。