【前回の記事を読む】何度かデートした男を振った結果…「ここではできない話がしたい」と言われ、なぜかホテルへ——「頼む! 見るだけやから! ホンマに!」と懇願してきて……

バニーガールの夜

1 丁寧すぎる彼氏の話

彼はうろたえるように身動きをした。

「あんたが脱ぐんか!」

「違うの?」

「いや、ええんや。いきなりで驚いただけや」

「これでいいの?」

「下は脱ぐのイヤなんか?」

「うん」

「なんでや?」

私は少し考えて、ありのままに答えることにした。

「えっと、私、そんなつもりなかったし、一般的に、下着から毛がはみ出して見えてしまうのは失礼らしいって聞いたのだけれど、今日は処理していないし確認してないから」

「そんなん俺は気にせえへんで」

「私が気になるから」

「それなら、待っててな」

彼はテーブルの上に置いてあった自分のバッグを開き始めた。

もしかするとカミソリでも持っているのだろうか。でもそれなら、この部屋のバスルームに備えつけられているはずだ。

「一回も着てない新品のやつと、はいてから洗ったやつがあるんやけど、どっちがいい?」

さながら金のオノと銀のオノの選択を迫る泉の女神のように、彼は両手に布を持ってかかげている。

私は一応、聞いてみることにした。

「それは何?」

「俺のぱんつや」

「どうするの、それ?」

というか、一枚ならともかく、どうして着替えを二枚も持っているのだろうか。様々な謎が私の胸中を去来する。

「貸すわ」

冬の日にジャケットか何かを貸してくれるときのように気前がいい。

「毛が気になるなら、これをはいてほしい。着替えてる間、むこうを向いてるから」

私はまばたきをした。確かに、彼が手に持っている下着をはけば、ムダ毛の問題は解消される。

「じゃあ、洗ったほうで」

新品を借りるのは何となく気が引けたため、そう答えた。

彼が私に下着を手渡して背中を向けたので、私ははいていたジーンズを脱いで、ショーツを脱いで、彼が貸してくれた男性用の下着に足を通す。これはボクサーショーツというのだろうか。

はいてみてから、変ではないか確認してみた。

変だけれど。

「もういいよ」

彼はすぐに振り返る。一秒ほどの間を置いて、口を開いた。

「それは何や?」

指差された先はベッドの上で、そこには私がたたんでおいた洋服とショーツがあった。

「それ?」

「それや」

「私がはいていたの?」

「なんでやねん! 脱がずに上からはくやろ普通!」

「そっか、気づかなかった!」

自分のショーツの上から彼の下着をはけばよかったのか。失念していた。

というより、こうした場合の普通とは何なのだろうか。

彼は額に手を当てて天井を見上げるような姿勢になった後、私に向き直った。