【前回記事を読む】「こんな真っ昼間からイチャイチャして……」北朝鮮の植物園で昆虫を探し、茂みの奥へ入るたびに鉢合わせしたのは……

1回目の訪朝

2 平壌(ピョンヤン)市内での採集記

■平壌(ピョンヤン)で採集をして

そんなことを考え思い悩んでいる時に、資料を探してみようとホテル内にある本屋さんへ立ち寄りました。そしてある本の文中に、「祖国の石ころ一つにさえも、戦死した同志の犠牲の跡がある」という文章を見つけたのです。

私にとって昆虫採集は楽しく、研究活動の大切な作業です。

しかし、生まれ育った日本ではなく、この地で大地を踏みしめて山や公園を駆け巡り「採集する」という行為や活動が、現地の人にとってどんな姿に映っているのか、今の朝鮮にとってどんな意味があるのかを、もっと真剣に考えないといけないと思うようになりました。

ただ虫が好きだから採集したい、調べたい、研究したい……。

本当にそんな理由だけで良いのでしょうか。

(俺は祖国で虫を採りたいと思う前に、朝鮮をどれだけ理解してこれまで生きてきたんや……)

朝鮮の人と虫に触れ始めてから、このような自問自答を繰り返す日々がスタートしたのでした。