【前回記事を読む】どちらか一方がゼロなら、企業価値もゼロに…市場価値だけを信じた企業は、評価軸の変化についていけず……
<基礎編>
【A2】
社会的価値の中核を成すのが、CSR/サステナビリティやESGへの取り組みです。財務情報(売上や利益など)に加え、非財務情報(企業の財務情報以外のすべての情報を指します)、とりわけESG情報(環境・社会・ガバナンスへの対応)は、今や投資家や金融機関が企業評価を行う上で重要な判断材料になっています。
実際、ESG投資は急速に拡大しており、2020年時点で310兆円だった日本のESG投資残高は、2022年には493兆円に達し、2年間で約60%増加しました。
今ではESGに真剣に取り組まない企業は、投資対象として選ばれず、結果的に生き残ることが難しい時代になっています。
また、社会・環境に有害な事業活動を行っている企業に対しては、投資撤退(ダイベストメント)の動きも加速しています。
CO2大量排出、海洋汚染、森林破壊などの活動に対しては、投資家も厳しく目を光らせているのです。
このように、CSR/サステナビリティは「社会貢献」ばかりでなく、「企業存続の要」でもあります。企業価値を高め、信頼され、選ばれる企業であるために、企業規模の大小にかかわらずCSR/サステナビリティへの取り組みは欠かせないのです。
【Q3】
企業のCSR/サステナビリティには「ミレニアル世代/Z世代の取り込みが大事」などとよく耳にしますが、どういうことなのでしょうか?
そんな若い世代に影響力があるとは思えませんが。
【A3】
まず、ミレニアル世代とは概ね1980年代初めから1990年代半ばに生まれた世代、Z世代は1990年代後半から2010年代序盤に生まれた世代を指します。2025年12月時点で言えば、ミレニアル世代はおおよそ30~44歳、Z世代は14~29歳という計算になります。
ミレニアル世代は、インターネットとIT技術の急成長を体験した「変革の目撃者」であり、Z世代はその中で生まれ育った「デジタルネイティブ」です。
とりわけZ世代は、多様性(ダイバーシティ)への感度が高く、金銭感覚は堅実、そして何より「社会課題や環境問題に対する当事者意識が非常に高い」という特徴があります。
たとえば「2050年カーボン・ニュートラル」という政府の長期目標。Z世代にとって2050年は、まさに社会の中核を担う40~50代に達する時期です。
私のような昭和生まれが「その頃には自分はもう生きていないし関係ない」と無責任に言いがちなのとは対照的に、Z世代にとって2050年は現実の未来であり、CSR/サステナビリティや環境課題はまさに「自分ごと」なのです。