実は今回、23歳前後の女性を対象者としたのは、筆者が2010年前後、裁判所職員の養成・研究機関に勤務していた時に、(心理学専攻者、それ以外の方どちらも)その年代の方と話すことが多かったので、厳密な形ではないにせよ、対照できるかと考えたからです。

2010年頃に23歳前後だった方は、スクールカウンセラーとの接触には、かなり地域差があった印象でした。またスクールカウンセラーと言えば臨床心理士で、一般の方には文部省・文科省が進めているんだから、臨床心理士は国家資格なんでしょう?というものが、 よくある誤解、という状況でした。

それから約15年、紆余曲折を経て国家資格・公認心理師が誕生しましたが、IE1が言われるように、臨床心理士が国家資格になったという誤解は根強いようです。IE1が言われる映画は『ファーストラヴ』(2021年公開)を指していると思われます。主役は公認心理師ですが、原作(2018年発売)では心理カウンセラー的描写となっています。

またIE2のように、心理学を学んだ人でさえも、心理職の国家資格化をめぐる問題はアンタッチャブルのような存在であり、詳しい経緯を知る人は少ないようです。心理職を目指している方が、異口同音に将来への不安を口にされているのは、長年にわたり同じ状況が続いているように見えます。

IE2の叔母さんという方は、それより前(2000年代)に大学生活を送られていた世代と思われますが、この頃は「臨床心理士」が急増する中、厚労省から別の構想(医療保健心理士)が検討された頃で、実際にあった署名活動のエピソードと思われます。厳密には、医療保健心理士、医療心理師から、(仮称)心理師といった各構想があり、どの時点での署名運動かは分かりませんが、当時の状況は第4章で詳しく取り上げていきます。

私自身が就職した頃から、IE2の方の叔母さん世代、私が養成・研究機関で接していた方々、そしてIE2さんのような現役世代と、共通して見られるのは、多くの心理職が安定した職に就けずにいることです。これは戦後まもなくの心理職から続く課題です。

この改善のためには、心理職が一枚岩となって、心理支援の必要性、重大性を訴えていくしかありません。国民の皆さまの混乱を解消し、国家資格・公認心理師のもと結集し、専門性を高めていくしかないと言えます。そして、そのためには正確な情報が必要です。

 

👉『「臨床心理士」に花束を』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】見つめながら、触れたいという不思議な感情が芽生えた。あの人の体に、頬に、髪に、唇に。緊張感のない弛緩しきった肉体は、無警戒な心そのものだった。

【注目記事】「個人でお金を払うので、また会えませんか?」…返事を待つ。深夜になって、短く悲しいLINEが届いた。

 

ゴールドライフオンライン(GLO)は、表現者を応援するウェブメディアです。
生身の人間が紡ぐリアルな言葉だからこそ、読者の心を揺さぶる力があると確信しています。
あなたも、"表現者"になってみませんか?
ゴールドライフオンライン(GLO)編集部:glo_henshu@gentosha.co.jp