一章 原点探訪/出雲国・松江の地が育んだもの

有田家史概要

◎有田氏宿縁の地・島根県松江市

ここからは有田氏より依頼を受け、高橋健太が筆を執ります。

さて、有田氏の先祖にあたる前田家は、江戸時代には出雲松江藩(島根県松江市)松平氏に仕える武士でした。

松江藩士の役職と氏名をまとめた『雲藩職制』によれば、有田氏の先祖である前田膳市(善市)は徒(徒歩で戦闘に参加する武士)の家格で、役職は札座内改でした。

札座内改とは、松江藩が発行を許可していた藩札(藩内で流通させた紙幣)の発行枚数の管理、偽造防止の監督などを行う責任の重い仕事でした。

家系図制作会社・家樹株式会社の先祖調査によると、前田家の本姓は菅原氏。

「加賀百万石」で有名な前田家の一族と比定されています。

加賀前田家の藩祖は、織田信長に仕え名高い前田利家です。利家が主人公のNHK大河ドラマ『利家とまつ』も、放送当時人気を博しました。

調査報告書を読むと、この前田利家の一族が江戸時代ごろに雲州松平家に仕えたのだと考えられます。

前田家は、松江城の城下町の一区画・雑賀町に居住していました。この雑賀町は下級武士である足軽が住む区画でした。

ただ、後述するように近現代になると、この雑賀町は非常に優秀な才子を数多く輩出したいわばエリート地区として有名になっていきます。

写真を拡大  図2 若槻禮次郎各家関係図