第2話 イミュニティの世界

【イミュニティの世界】

家電の外部で生じたノイズがどのような影響を及ぼしうるのか、その対処はどうすれば良さそうかという観点で考察していきたいと思います。

よく『EMC』という言葉を聞くと思います。

図2 EMC:Electromagnetic Compatibility

EMCの歴史は意外に長く、もともとは無線電信の障害が発端となっていて、その主な原因は無線局同士の干渉でした。その後、ラジオ放送が普及し、ラジオの受信障害が顕著になってきました。

障害の原因として、自動車からのイグニッションノイズやいわゆるISM機器(Industrial,Scientific and Medical equipment)など、無線局ではない機器から発せられるノイズがクローズアップされることになります。

これら問題を解決すべく1934年、米国連邦通信委員会(FCC)および国際無線障害特別委員会(CISPR)が相次いで設立されました。

規制の対象外であったデジタル技術を用いた機器が普及すると、受信機への障害だけでなくデジタル機器自身の誤動作という問題が顕在化しました。

これらを規制するため、1979年、FCCがデジタル機器のエミッションに関する規格を発行し、1989年には欧州においてエミッションおよびイミュニティを規制するEMC指令が発行されました。

日本では1985年に情報処理装置等電波障害自主規制協議会(現在のVCCI協会)が設立され、自主規制という形でデジタル機器に対する規制を開始し、現在に至っています。

このように、私たちの身近にある家電の多くは法律の規制を受けます。

実際にいろいろなノイズで本来の機能を達成できなくならないような設計だけではなく、法律にも準拠し許可を受けなければ世に出すことができないのです。

このように、家電(だけではなく全ての)エンジニア達は日々悩み、奮闘しているのです。

本コラムでは、EMCの中でも、イミュニティ(EMS:Electromagnetic Susceptibility)に視点を当てるのですが、規制がどうのというよりも

1.何が起きているのか

2.どうすればいいのか

といった、実際問題を考察していこうと思います。

前回のコラムでも紹介したとおり、私は約40年、総合家電メーカーで白物家電の設計に従事してまいりました。

長年開発に携わっていると、いろいろな事象に遭遇します。

私の経験をもとに開発の過程で起きた、イミュニティに関わる特徴的な事象をピックアップして、皆様がイメージしやすいようにお話していこうと考えています。

 

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