第1章 日本書紀に見る双系制
第1節 双系継承の目的
第49代光仁天皇まで、天皇の継承が双系継承であったことは、義江明子氏らが既に実証している通りである。
日本の双系継承は、4つの特徴があり、『日本書紀』神代の巻、神武天皇記がその特徴をよくとらえている。『魏志倭人伝』にもその4つの特徴が記載されている。当時有力な一族は、一族間でも近親婚を繰り返したことを考えると、天照大神、卑弥呼、天皇家は、同族・直系である可能性が大変高い。
倭国の双系継承の第一の特徴は近親婚である。
兄・妹、姉・弟が結婚する。伊邪那岐・伊邪那美、天照大神・須佐之男命、宇佐津彦・宇佐津姫(神武紀に出てくる)、卑弥呼・男弟。神武紀にも、宇佐津彦・宇佐津姫は兄・妹と記載されているが、双系継承は兄・妹が結婚する。用明天皇と穴穂部間人皇后が兄・妹、穴穂部皇子は自分の姉の推古天皇と結婚しようとして拒否された。
神代記、『魏志倭人伝』で兄・妹、姉・弟と記載された場合、夫婦の可能性を検討すべきである。
エマニュエル・トッド氏の家族人類学の理論によれば、「アフリカを出た人類は双系制の核家族としてユーラシア大陸の移動を開始して辺境にまでいたったが、歴史のいずれかの時点で父系性革新が起こり、それが周縁部に向かって伝播していった」(『家族システムの起源 Ⅰユーラシア』石崎晴己監訳、藤原書店 2016)。
これは、単純に言うと、人類の最初の段階で夫婦の財産を継承するのは、その夫婦の息子と娘が結婚した夫婦であることを双系制の核家族といっている。重要なことは、息子であっても娘であっても、自分の兄弟・姉妹以外と結婚すると継承資格を失うということである。
原始時代、住居に適したほら穴に住む夫婦は自分の息子と娘夫婦にほら穴を継承させた。家・財産がそのまま息子・娘夫婦に引き継がれるのが、双系継承である。そして重要なのは男女が同格である点である。息子は娘と結婚しないと相続資格を失うし、娘も息子と結婚しないと相続資格を失う対等の関係である。
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