「おはようございまーす!」詩とさくらは待ち合わせ場所にいる伊藤班長に向かって挨拶をしました。

「おはよう詩ちゃん、さくらちゃん。二人とも元気そうだね」

この班の班長は六年生の伊藤理沙(りさ)さん。面倒見が良く、誰に対しても悪いものは悪い、良いものは良いとしっかり言える子なので、詩もさくらも頼れるお姉さんという目で伊藤班長を見ています。

「班長! ちょっと待ってー」

走ってこちらに向かってくるのは同じクラスの英(ひで)ちゃん、谷原英俊(たにはらひでとし)君。詩とは一年生から同じクラスで大親友。日焼けした肌にスポーツ刈り、笑うと白い歯が眩しい爽やかな少年です。

「ほら~早く来ないと置いてっちゃうよ~」

班長は笑いながら英ちゃんに向かって手を振りました。英ちゃんは家の時計が壊れていたとか言ってごまかしていたけど、多分寝坊でもしたんだろうと詩はくすっと笑ってしまいました。

「それじゃみんな揃ったので出発しま~す!」

「はーい」

「よっ、堕天使おはよう!」

後ろから英ちゃんが詩に笑って話しかけました。

「おはよう英ちゃん! 久しぶりだね~」

「何言ってんだよ、昨日一緒に遊んだばかりじゃん。全然久しぶりじゃないよ」

「ごめんごめん、久しぶりじゃないよね。昨日ぶりだよね!」

「あはははははっ」

二人は横に並んで笑って歩きました。

あっ、詩のあだ名は堕天使で、その名付け親が実は英ちゃんでした。

三年生で「詩」という漢字を習ったとき、英ちゃんが詩の名札をじっと見て、伊達詩(うた)が伊達詩(し)。そして「だてし」「だてし」と連呼していたら「だてんし」に変わり、「堕天使」というあだ名が誕生しました。

詩も「詩(し)」じゃなくて「詩(うた)!」と抵抗したのですが、そのあだ名はあっという間にクラス中に広がり、通常は「詩ちゃん」と呼ぶのですが、詩に何かあると先生も一緒に「堕天使」と呼んでいます。

これが「堕天使」というあだ名の由来で始まりでした。

 

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