第2章 100年に一度という事実

激変

今、日本の企業数は、534万783社(出典:「経済センサス—活動調査調査の結果」平成28年総務省統計局)です。

そのうち従業員300人以下の中小企業数は、529万9798社で、実に全企業数の99.2%です。日本は中小企業で成り立っていることがよくわかります。さらに20人以下の小企業数が475万4239社、89.0%です。日本はほとんど小企業で成り立っているといっても過言ではありません。

これらの企業が途方もない痛手を被っています。新型コロナの影響はほぼ全世界、全産業に広がり、「世界恐慌」という状況になっています。営々と築き上げてきた企業活動の成果が、一夜にして崩れ落ちていくさまは壮絶です。自分が生きている間に、こんなことが起こるとは誰も想像しなかったでしょう。

外出自粛で企業活動は全くストップし、売上が蒸発してしまいました。優良企業に見えた大企業、強い企業もあっという間に業績が悪化しました。企業活動を停止するとわずか数カ月のうちに破綻寸前まで追いやられることを知って、驚いた方がほとんどです。

日本企業の大多数を占める小企業は、財務基盤が非常に弱く、青息吐息の企業が夥しい数にのぼります。外出自粛が緩和されたとしても、売上が回復することは望めません。外出自粛が解かれたとしても、以前のように損益分岐点が回復しないのです。

3密です。3密というキーワードは企業にとって致命的です。密着、密接、密閉。3密を防ぐために、ソーシャルディスタンスを取らなければならないからです。

飲食店では、間を空けて座ってもらわなければなりません。一つ間を空けるだけで稼働率は50%となります。果たして従来の半分の売上で成り立つ企業はあるのでしょうか。私たちはさまざまな企業の経営分析を行っていますが、売上が半分で黒字を維持できる企業はほとんど存在していません。

営業再開しても、3密状態が続く限り、企業活動が元に戻ることはありません。

第二波、第三波の襲来は避けられないといわれています。ワクチン、薬の登場までは、茨の道が続きます。一刻も早い、ワクチン、薬の開発を願うばかりです。

また強力な政治のリーダーシップがなければ、企業が生きながらえることは難しいと誰もが感じています。このようなときこそ政治の役割があります。平時のときは、誰が政治を行っても大きな違いはありませんが、戦時のときに政治のほんとうの力が顕れてきます。

いまの日本の政治の弱さがよくわかります。