まえがき

私たちは あまりにも多くの「あるべき姿」を知りすぎてしまいました

完璧な仕事 理想的な愛 正しい生き方 そして 強要される「ウェルビーイング」……

そんな輝く規範の影で 誰もがふと感じることでしょう

「どうも自分は この世界に うまく合っていないらしい」と

この詩集に収められたのは そんな不完全な魂が 断絶の闇中で呟つぶやいた 三十の独白です

その言葉は 様々な日常の片隅から溢(あふ)れ出た「或(あ)る声として あなたの喉(のど)を掻(か)き切るはずです

この詩集は あなたが辿たどるかもしれない三つの旅路を示しています

・第一の旅路「顔のない世間に裁かれて」:社会システムの円滑な循環から弾(はじ)かれ

「普通」という世間の尺度によって その存在を断罪される道

・第二の旅路「涸(か)れない、この渇き」:尽きることのない欲望に追い立てられ

満たされない深淵(しんえん)に落ちていく道

・第三の旅路「人間を辞める、その日のために」:すべての意味や倫理を捨て去り

諦(あきら)めという名の空っぽな自由を選ぶ道

これは 私たち誰もが心の中に抱える 全的な不適合者たちの肖像画です