【前回の記事を読む】「明日は月曜日…会社に行きたくない」…誰もが抱いたことがあるような悩みの中に、実は“現代人の苦悩”が潜んでいて…
第一章 私たちを悩ませる「無条件の苦しみ」
・苦悩はどこから訪れるのか
私たちがこの世で生きていく中で、どうしても避けたいと思うことは、やはり肉体苦と精神苦だと思います。
ひと口に苦しみといっても、さまざまな種類やレベルのものが存在します。その中でも、とりわけ人間関係のトラブルがきっかけで起こる苦悩は、人々にとって大きなウェイトを占めているように思います。実際のところ、私自身もこれまでたくさんの対人トラブルで悩まされてきました。
「人間は本性上ポリス的(社会的)動物である」(『政治学』第一巻第二章)とアリストテレスが言う通り、私たちは社会を作る存在です。社会の中でこそ生存できるのであり、社会なくして個人はないということになります。
そんな人間社会で生きていく以上、人は一人の力だけでは決して生きてはいけません。人と人とが互いに助け合いながら生き抜いてきたのが人間の歴史です。
今、私たちの身の回りにある所有物も、また自身の知識や技術も、自分一人で築いてきたものではなく、ほとんどが他者の力や協力によって得られたものです。そうして人類の叡智は、さまざまな分野で成果を上げ、文明は加速度的に進化してきました。それに伴い、人々の暮らしも豊かになっていったのです。
現在、世界196か国の中で、日本の経済的豊かさは依然上位を占めています。そんな恵まれた日本に生まれてきた私たちは、圧倒的に幸せになれる条件があらかじめ整っていると言えるのかもしれません。日本のような政治や経済、教育、福祉などがこれだけ安定している国は、世界各国の中でもそう多くはないと言えるでしょう。
今日多方面で豊かな日本国ではありますが、当然多くの問題を抱えているのも事実です。
国家安全保障や領土問題、ジェンダー・いじめ・ハラスメントの問題、介護・年金・少子高齢化問題、エネルギー資源や食料問題、さらに、経済格差や地方の衰退、災害リスクや気候変動、孤独・自殺……などが山積みで、そのすべてが軽視できない事柄ばかりです。
これらの問題は避けて通れないものである以上、一刻も早く処理しなければならない喫緊の要事と言えるでしょう。