しかし、私が今思う最も深刻な問題とは、人間のみが抱える「心の病」です。ことにそれは対人関係から生じているようで、職場や家族、友人とのもつれが原因となっているケースが多いのだろうと思います。
また、人間関係の欠如をもたらしたのは、現在の社会構造のせいだと思いたくなることもしばしばあります。
「弱肉強食」という考えのもと、人間は常に他人と自分を比較しながら生きています。まるで競争社会で勝ち残った者こそが優れた人間であるかのように、現代ではそうした価値観が当たり前になってしまったかのようです。
そのため、人はつい他人との比較や優劣という物差しで自分や他人を評価しがちです。しかし、そのような生き方は、常に他人の目を気にして生きる、息苦しい人生へとつながってしまいます。
「私は知性もないし、運動も苦手。何をやっても劣っているダメ人間」
「見た目も性格も悪く、誰からも好かれない惨めな存在」
「取り柄もなく、才能にも恵まれない無能な人間」
そんなふうに、自分を責めたり否定したりして苦しんでいる人は、きっとこの世にたくさんいるのではないでしょうか。
おそらく現代では、多くの人が何らかのメンタルの問題を抱えながら日々を過ごしているのかもしれません。そして、その問題が未だ解決されないまま苦しみ続けている人も少なくありません。
そんな生き方では、自尊心を持つことや自分を愛することが難しくなり、毎日がつらく、惨めに感じられることでしょう。そして、自尊心を失ったままでは、他人や社会との健全な人間関係を築くこともますます困難になります。
他者と比較し、対立し合うような競争社会で生まれてくるのは、優越感や劣等感といった歪んだ感情です。さらに、そこから嫉妬や怒り、憎しみ、自惚(うぬぼ)れといった、あなたの心を蝕(むしば)むいろいろな感情が生まれるのだと思います。こうした現代社会のあり方について、私たちは一度立ち止まって見つめ直す必要があるのではないでしょうか。
それでは、競争原理による比較や優劣の問題があるのなら、いっそのこと仕組み自体をなくしてしまえばいいのでしょうか。昔のように、まだ比較や対立が存在しなかったとされる農業革命(新石器革命)以前の原始的な生き方に立ち返ればよいのでしょうか?
もしくは、平等主義に基づいた教育を進め、個人の能力を一律に評価することをやめ、他人と競わせるようなシステムをなくすべきなのでしょうか?
あるいは、企業の人事方針を見直し、成果主義や能力主義に偏り過ぎないような働きかけを進めるべきなのでしょうか?
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