【前回の記事を読む】愛していた娘は、父よりも賢くなっていった…完璧すぎる我が子を前に、愛情はいつの間にか恐怖心へと変化していき……
始まりの神話
ある時、問題が生じました。神は接触を遠ざけた代わりにと自身の像を娘に与えました。
すると、これに娘が反発したのです。
「偶像崇拝を禁止しているというのに、あなたがこんなものを作って私に与えては混乱を生んでしまう」と。
娘に指摘され神は困惑しました。偶像崇拝を禁止した第一の目的は天使が娘を自らと同一視しないようにするためでしたが、娘の指摘に反論するにはその理由を語らなくてはならないからです。
言葉を選んだとしてもそれをきっかけに、彼女の成長性が真実に、本心にたどり着くリスクがありました。それを避けるために、説明を行わず素直に謝罪することにしました。
一方、娘も複雑でした。最善と思っての発言でしたが、自身の思いはただ親ともっと会話をしたかったからです。
しかし、それを口にはしませんでした。ただ、神でも間違えることはあると考え、いざという時には力になろうと思いました。
その時は最悪の形で訪れました。
神は娘に世界に対して罪悪感を持っていることを赤裸々に告白し懺悔しました。そして、解決策を共に進めたいと言いました。娘は喜びましたが、神が提案した計画の内容を聞いて、それをやめるように進言しました。
その計画とは世界を完璧に創り直すことでしたが、この計画の問題点に娘は直ぐに気が付いたのです。
完璧な世界を作り直すことで完璧に世界を作らなかった罪悪感は無くなっても、代わりに、不完全な世界に将来も含めて存在する全てを否定したことに罪悪感を持つようになると考えたからです。
しかし、神を苦しめる罪悪感を消せる良い別案が浮かばなかった娘は考えを伏せ、考え直すように話しましたが、現状の計画自体は完璧だったこともあり、神は考えを変えませんでした。
議論は長いこと平行線を辿りました。
しかし、娘はある時、神の計画を進めることで同意しました。
神は喜びましたが、娘には神に伝えない裏の計画がありました。