それからしばらくしてじゃった。ねむるように胸もとで息を引き取った。おじいさんは目を赤くはらしながら、ミミの顔に頬をくっつけた。そして話しかけたそうな。
「わしより先に天国に行ってくれてありがとうよ」
そう言って、しずかになみだを流しながら強く抱きしめた。
「しばらくのあいだ、ばあさんの相手をしとってくれ。認知症はもうないじゃろうて。そこにはシマオもいるから、さびしくはないじゃろう。シマオはのう、わしの焼き魚をとったんで、頭をたたいてしもうたことがあるんじゃ。ゴメンと言うとって……」
おじいさんはもう、言葉がつまってしもうて、なみだが頬を伝ってミミの顔にしずかに落ちていったそうじゃ。
それから数か月がすぎたころじゃった。菜の花があぜ道にぽつんと黄色い顔を出すころ、おじいさんが亡くなったそうじゃ。
みーんな雲の上に引っ越してしもうた。今ごろは、ミミとおじいさんとおばあさん、それにシマオが楽しい会話をしているじゃろうて。
そうそう今日はな、孫娘がわしのところに猫を1匹連れてくる日なんじゃ。動物愛護管理センターからいい子を引き出してくると言うとったが、本当かのう。
ミミのような猫かもしれん。歯はあるかのう。しっぽはカギのように曲がっとるじゃろうか。片いっぽうの目はパンダになっとるかもしれん。今からワクワクしとる。会うのが楽しみじゃぁ。
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