プライド

ここでNYへ戻ります。きっとコンシェルジュのような清掃員も、多かれ少なかれ似たような境遇にいたのではないでしょうか。おそらくですが、この職種があの人の第一希望だったとは思いにくいです。つなぎを着た青年との違いはなんでしょう。それは着ている服です。

NYの清掃員はスーツに身を包んでいました。皆さんは、ホテルのスタッフがたまたま清掃していたのでは? と思われるかもしれません。絶対に違います。ホテルのスタッフが清掃を行うことはありえません。特に欧米では職種というものは明確に分かれています。

就労する際にサインをする契約書に書いていない仕事をすることは、アメリカでもありえません。多くの日本人がおそらくやっているであろう、気遣いやサービスで誰かの仕事を代わりにやるという行動は、日本が契約社会ではないからできることなんです。

こと細かく仕事の内容について記されている契約書にサインをして就労するような国では、他の仕事をすることは契約違反とも言えます。そして同時に、他の人の仕事を奪うことにもなってしまうのです。日本と欧米社会ではこの点が大きく違うところです。

日本の学校では子供たちが自分たちで教室やトイレの掃除をしますが、アメリカではやりません。JanitorやCustodian(用務員)から仕事を奪うことになってしまうからです。そんなことをしたらむしろ怒られてしまう、そういう社会なのです。

日本の社会は特殊で、ほとんどの企業が春に新卒の学生を一斉採用します。少しずつ中途採用が増えてきているとは言え、日本の雇用システムに大きな変化はありません。他方、欧米では真逆で、ほとんどが中途採用です。つまりポストに空きが出ない限り採用が行われないのです。

ですので採用というのは年中行われています。みんなが常に希望のポストの Job Opening (仕事の空き)を待っている状態です。あのNYの清掃員ももしかすると、仕事が必要な時に清掃員という仕事しか見つからなかったのかもしれません。

 

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