ざっと見回っただけだったのですが、予想通りカツオブシムシやヒョウホンムシなどの甲虫類の死骸を拾得することができました(写真1)。またそれら以外の死骸も拾得できましたが、これが後に悲劇に……。

写真1 カツオブシムシの死骸

これらの甲虫類は名前からも想像できるように、主に乾物や貯穀類、衣類などを食べる害虫として知られており、文化財の害虫として駆除対象に指定されている種類もいます。このような昆虫類はどのような家でも発見される可能性があるのですが、小さく地味な色をしているためにその存在を知らないとほとんど見つけることができません。

ごく普通に見られるヒメマルカツオブシムシ(写真2)という昆虫は、成虫の時は屋外でよく花粉などを食べているところを観察できますが、産卵時期が来ると屋内へ侵入し、衣類や乾物などに卵を産みつけるのです。幼虫はそれらを食べて成長するのですが、体中に鋭い毛を具えており、そこに糸くずや塵が絡まって見つけるのが困難なのです。

写真2   訪花したヒメマルカツオブシムシ(職場で撮影)

実は、私は先ほどの歓迎会でビールのつまみに明太の干物を食べた時、これらの甲虫類がいるだろうことを予測していたのですが、案の定乾物を多く利用するホテルはそのような昆虫にとって最高の生活空間だったようです。

それらは日本の種類とほぼ同じと思われましたが、後にこれまで朝鮮からは記録のない「新記録種(初めてその分布域が確認された種)」も含まれていることが判明しました。

しかし、同時に悲劇も起こりました。

拾得した他の昆虫死骸にこの死骸を餌とする蛾の幼虫(動物性の繊維でできた衣類を食べる害虫として日本でも知られるイガ類の一種と思われる蛾)が付着しているのを見逃し、他の採集した昆虫類と一緒に保管していたため、食害されてしまったのです。

たとえ乾燥して死んだ状態であったとしても、しっかりと毒瓶の中で殺虫して保管すればよかったと大変後悔しました。今回得たカツオブシムシやヒョウホンムシ類も標本を食べる昆虫で、昆虫の研究者・愛好家泣かせの昆虫類なのです。そのため、取り扱いには大変注意が必要です。