プロローグ 氣の通う家――佐世保の暮らしから
梁(はり)が語る、住まいの原点
最近、よく聞かれる。
「会長、九州に戻ったと聞きましたが、今どうしているんですか」と。
だから私は、最初にこの話だけしておこうと思う。
私は今、
佐世保の大きな農家で暮らしている。
愛犬のはなちゃんと一緒に。
風の通る場所で、
もう一度、言葉を整えている。
見上げると、木の梁が語っている。私が四十四年かけて追い求めてきた家づくりの哲学の源が、そこにある。
屋根まで吹き抜けた高い天井。
むき出しの梁は、七十五年の風雪に耐えた証を、誇るように静かに残している。
四十畳を超すであろう広間には、風と光が満ちている。
私はここで、思う。
家とは――
「氣」が巡り、命が安らぐ場なのだと。
高性能だとか、断熱だとか、耐震だとか。
もちろん大事だ。
だが最後に人を救うのは、数字ではない。
その家に入った瞬間、息ができるかどうか。
心がほどけるかどうか。
その一点だ。
この空間には、
私がずっと探してきた
「住まいの原点」が、宿っている。
私の語りは、暮らしの中から生まれる。
机の上には、ノートとパソコン。
その先にあるのは――命の声だ。