一九六〇年代を混乱に陥れたもうひとつの要因は新左翼学生の反乱だ。
海外ではソ連(ロシア)による一九五六年のハンガリー暴動鎮圧やスターリン批判、一九六八年にチェコスロバキアで起きた「プラハの春」の弾圧といった事件を経て、旧ソ連型社会主義の権威が失墜した。
一方、キューバ革命やベトナム戦争など従来のマルクス主義では捉えられない民族解放闘争が相次ぎ、西欧の学生運動に新たな革命モデルとして影響を与えた。
日本でも共産党などソ連寄りの「旧左翼」に対抗して「新左翼」が台頭した。日本や欧米では、労働者階級の待遇改善など「体制内改革」を叫ぶ旧左翼に対し、新左翼は革命とは体制の全面的変革と再定義し、大学から飛び出して街頭闘争に走り、革命前夜のような雰囲気が醸し出された。
米国で起きた「文化革命」
六〇年代に価値観が変わったのは日本だけではない。レーガン米政権の首席顧問で、米大統領候補にもなったパトリック・J・ブキャナンは自著『病むアメリカ、滅びゆく西洋』(1)で、六〇年代こそが文明の転換点だったと回顧する。
それをもたらしたのは一九三〇年代にナチスの迫害を逃れて米国に亡命した共産主義者や自由主義者だった。
彼らは当初、米国でプロレタリア革命を目指したが、すでに米国の労働者は豊かになっており、マルクス主義が定義するプロレタリアは存在しない。
そこで彼らは「文化革命」によって米国社会を変えようとした。
(1)パトリック・J・ブキャナン『病むアメリカ、滅びゆく西洋』(宮崎哲弥監訳、成甲書房)21頁
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