悠希さんは会社を休んでいたらしく、これからどう出てくるか分からないけど、とりあえず私と俊雄さんの二人の生活が始まった。

数日後、悠希さんが新居に現れた。

「ご結婚されたのですね」

「ええ、そうよ」

「では……俊雄さんには慰謝料のお支払いをお願いいたします。私を弄んだのですから当然ですわよね」

「は?」

何を言ってるんだろう? そう強く思えた。逆に慰謝料を払って欲しいのはこっちの方だ。

「処女を奪い、それからも体を弄んで、捨てた罪。償って下さいね?」

「……あなたねぇ。こっちがどれだけ迷惑を被(こうむ)ったのか、分かってるの!?」

「あら、私はただ弄ばれただけですわ。迷惑を掛けられたのはこちらですわよ」

駄目だ……この人には正論は通じない。いくら言っても、自分の都合の良いように解釈してしまっている。このまま慰謝料を払わないといけないの!?

「慰謝料は払わない。何だったら裁判でも何でもすれば良い。こっちには証拠があるんだ」

「証拠?」

私と悠希さんの声が重なった。

「悠希さんに色々と言われた事を、実は録音してある。裁判ではこちらが有利だよ」

俊雄さん、ちゃんと警戒していたんだ……。

これなら悠希さんを退ける事ができる。明るい兆しが見えてきた。

悠希さんとの会話を録音していたという俊雄さんは、裁判でも何でもしてくれて構わないという姿勢で、これまで見た事のない頼もしさを感じる。

一方、分が悪くなったと思われた悠希さんは、何故か笑みを浮かべた。

「そうなのですね。では、この私の中の命はどうなさるおつもりですか?」

 

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