【体験談を読む】「私はクレーマー?」「見知らぬおじさんと朝まで…」読者から寄せられた"つぶやき"をご紹介
もう何年も前のことなのに、なぜか今でも覚えている出来事はないだろうか。
誰かに言われた一言。不意にもらった優しさ。一度だけ見たあの表情……。
そんな記憶が、誰の中にもひとつくらいあるのではないだろうか。
ゴールドライフオンラインでは、生身の人間にしか紡げない“リアルなストーリー”を募集中。
今回は読者から届いた「忘れられない出来事」をご紹介しよう。
面接の日、見知らぬ男性が駅で…
第一志望の会社の最終面接に行った朝のことが、忘れられません。
私はかなり緊張していて、駅のホームでもずっと時計ばかり見ていました。
忘れ物はないか、電車は間違っていないか、降りる駅はここで合っているか。
不安になりながら、一生懸命考えた想定問答集を、脳内で何度も繰り返していました。
そんな状態で乗り換えの駅で電車を降りたとき、後ろから誰かの声がしました。
「すみません!」
最初は自分に向けられた声だと思わず、そのまま歩いていました。すると、今度は少し近くで、
「落としましたよ!」
と聞こえました。
振り返ると、スーツ姿の若い男性が、人混みの中をこちらに向かって走ってきていました。手には、私の定期入れがありました。
私はそこで初めて、自分のバッグの外ポケットが開いたままになっていることに気づきました。
定期入れの中には、Suicaだけでなく、免許証や保険証も一緒に入れていて、一人暮らしの私にとってはなくしてはならないものでした。
男性の手にある定期入れを見たとき、さっと血の気が引いたのを覚えています。
男性は息を切らしながら、それを私に渡してくれました。私は何度も何度も頭を下げました。
その人は小さくうなずくと「頑張ってね」と言って、私が降りてきたのとは反対側のホームへ走って戻っていきました。
リクルートスーツに、黒いパンプスで、髪の毛をまとめた私は、見るからに就活生だったのだと思います。
その人が反対側のホームに戻っていくのを見て、私の定期入れを届けるために、自分の電車を逃してしまったのではないかと思いました。けれど、声をかけようにも朝のラッシュ時は人が多すぎて、その人の姿はもう見えませんでした。
結局、その会社には縁がなく落ちてしまいましたが、無事に面接を受けることができたのはあの人のおかげだったと思います。
あの人の名前も顔も、もうはっきりとは思い出せません。お礼がきちんと言えなかったという後悔もあります。
だからそれ以来、駅で落とし物を見つけると、できるだけすぐに拾って届けるようにしています。
みずきちさん(30代・女性)
初めてのバレンタイン
もう20年近く前になりますが、中学3年生のバレンタインのことです。
塾の帰りに、道端で突然女の子からチョコレートを渡されました。
当時の私は女の子と話すことなんてほとんどない大人しいタイプだったので、とてもびっくりして、受け取ることしかできませんでした。
お礼を言えたかどうかも覚えていません。女の子の顔も、一目見ただけでは誰か分からず、人違いだったのではないか、とも思いました。
ですが家に帰って、部屋でこっそり紙袋をあけてみると、見覚えのある名前が書かれた手紙が入っていました。
夏期講習のときに同じクラスだった別の中学の女子でした。そういえば夏期講習のときは隣の席で、少し話をしていました。
しかし中3の2月ともなればもう塾に行くこともあまりなく、その日以来、その子には二度と会えていません。
塾に貼られていた進路の紙をこっそり見たら、彼女は私立に推薦で行ったようでした。
正直、顔もあまりよく思い出せないのですが、今でもあのときもらったメ〇ーチョコレートを見ると、ふと彼女のことを思い出します。
人生で初めて、母親以外からもらったチョコレートでした。
賽の目さん(30代・男性)