ミオと同じ衣装を着けた理恵が紙袋を受け取ると、カイはその腰に手を回して抱き寄せた。今朝も触れたばかりの柔らかな肌の感触だった。
「相変わらず、ほぼ布切れだな」
衣装に目を落とし、カイはその髪の香りを胸いっぱいに吸い込んだ。
「あんまりがんばるなよ……」
カイは誰の目もないことをそっと確認すると理恵の頬を手で包み込んだ。キスしてくれる時傾げながら近づいてくるカイのまなざしと唇が理恵は好きだった。
形の整った少し厚い唇、切れ長の二重、高すぎない鼻の容(かたち)……そして閉じた瞳の中に消えていく顎のライン、包み込んでくれる掌の温かさ……。
この人が自分と同じ性であると思うたびに、理恵は何か不思議な感覚にとらわれるようだった。性別を決めるラインを流れていく赤ちゃんのカイ、神様はカイの順番の時たまたまよそ見をしていて、カイの性別を間違えてこの地球に産み落としてしまったのだろうか……。
そしてカイと出会えたこと、愛し合えていることに何よりも幸せを感じ、間違ってくれた神様にビアンである理恵は感謝していた。
淫靡な音を立てながら繰り返されるキスの中、カイが理恵の中に舌を入れようとした。
「だめ……」
カイの鎖骨の辺りを理恵の細い指が軽く押した。天鵞絨(ビロード)の向こうには、今夜ステージの上で腰を回し踊りながらチップをねだるダンサー達がいた。
カイは仕方なさそうに唇から離れると鼻先で理恵の鼻先を軽く遊んだ。そしておでこを触れさせたまま少し寂しげに理恵を見つめると、
「あとで誠と行くから」
カイは低い声で静かに囁いた。
三年経つ今でも間近に見つめられ囁きを聞くと理恵の胸は、高鳴りを覚えた。小さく頷いた理恵は瞳に溢れ出すセクシャルな高揚を隠し切れずにいた。