第2章 100年に一度という事実

今回の新型コロナの出来事は、日本の石油ショック、バブル崩壊、リーマンショックをはるかに上回る規模で起こっています。戦争を除いて与える影響の大きさは、世界恐慌に匹敵します。

世界恐慌は教科書で習った程度で、遠い歴史上のことでした。それが目の前で起こっているのです。しかも、同じ時期に地球上のすべての国、すべての人々の間で起こっています。人類史上、苦しい出来事を同時期に共通体験することははじめてではないでしょうか。

発表される経済統計を見ていますと、言葉を失うものばかりです。観光、宿泊、飲食、運輸、興行などは甚大な被害となり、業種を問わず、全世界全産業が計り知れない痛手を被っています。1日も早い、薬、ワクチンの開発をただ願うばかりです。

私たちは、この災禍を逃れることはできません。しかしだからといって、このまま手を拱いているわけにはいきません。

きっと、終息後の世界は変わっているに違いありません。本書では、終息した後の社会について触れたいと思います。

大きな出来事が起こったとき、社会は以前の状態に戻らないということです。振り返ってみましょう。

1973年の石油ショックが起こって日本は、その後どうなったでしょうか。実に大きな分岐点となりました。高度成長が終わったのです。低成長に完全に移行しました。

私はちょうど、石油ショックが起こった翌年に社会に出ましたが、就職状況は一変しました。大学は出たけれどという事態になったのです。

次に、バブル崩壊です。バブル崩壊は、実に悲惨な状態を作り出しました。

現在の日本の長い低迷は、ここに起点があります。いまの若い世代の皆さん、経済学を学んでいる学生でも、ほとんどこのことを知りません。