第3章 ヒューマンエラー防止対策
1、ヒューマンエラーとスイスチーズモデル
あなたは朝からいろいろなマイナスの要因によりダメージを受けているようです。また、今日は愛妻弁当を家に忘れて出てきてしまいました。仕方なく、近くのコンビニへ昼ご飯を買いに行ったため、休憩時間がいつもの半分以下になりました。おかげで、休憩時間内に、午前中にたまった疲れを完全に回復させることができていません。
午後の作業から受けるダメージを考えると、今日の終了時間までにライフポイントを全て使い切ってしまいそうです。
今日の作業が終了する頃には、状況がかなり深刻な状態になっていると想像できます。そうなってしまう前に、何かの対策を打つ必要があります。
それでは、この事例を使ってm-SHELモデルとスイスチーズモデルに当てはめながらヒューマンエラー防止の対策を考えることにしましょう。
通常、作業におけるカベの穴を完全に塞ぐことは(ダメージをゼロにすることは)できませんが、穴を小さくすることは可能です。全ての要素に対して、考えうる対策を行うのが理想です。
事例に対し、有効な対策をいくつか挙げてみます。
▶L-Sの関係改善;組み立てるパーツを使う順番ごとに番号を振り、順番通り棚に並べておきます。そうすることで、探すための余分な労力をなくし、自分のライフポイントの減少を少なくできます。
▶L-Hの関係改善;組み立て時に治具を利用できるようにし、間違った部品を取り出した場合には、治具にはまらない工夫をすることも有効です。そうすることで、これまで使っていた余分な神経を使わずに済みます。
▶L-Eの関係改善;照明の切れた電灯を交換し、必要な照度を確保することが先決です。作業の一部始終が、格段に見易くなりました。これまでの“暗い”というマイナスの要因から受けていたダメージをほぼゼロに抑えることができました。更には、作業台上の整理整頓を徹底し、気持ちよく作業ができるようにしたいものです。
▶L-Lの関係改善;あらかじめ組み立てるパーツを、順番通りセットしておき、無駄な順番待ちによる精神的な疲れを防止します。(作業手順の改善にもなる)