【前回記事を読む】大きく手を広げ「Lisaが好きだ」と伝えると、彼女は額を僕の額に重ねて、「本当に? 嘘だったら…」と豹変した

~ 出会い Marlon & Lisa ~

「Lisa、待って! 僕は絶対に捕まえるからね!」

グルグルと何周回っただろうか? 必死に追いかけても、逃げるLisaを僕は捕まえることが出来ない。指先に触れることさえも。僕は大砲の車輪を握り締め、しゃがみ込んでLisaの様子を伺う。

「Marlon、上手く隠れたつもりでも、あなたの金色の巻き毛も、顔も、手も、足も全部見えてるわ。さあ、私はここを動かないから捕まえてみなさい!」

大砲の後ろ側でしゃがみ込んだままLisaは動かない。僕は膝を曲げてゆっくりと歩き大砲の後ろへ回り込み近づく。するとLisaが両手を挙げていきなり立ち上がり、

「ガオッー!」

僕はビックリしてひっくり返り、芝生の上で思いっきり笑い転げた。Lisaはガオッーと低い声で唸りながらゆっくり近づいてきて素早く僕の脇腹を思いっきりくすぐってきた!

僕は息が出来ないほど笑い転げた。

「やめて~! Lisa~!」

そう叫ぶと、

「Marlonの負け~!」

そう言ってLisaは頭の上で両手を叩いて大喜び。

「さあ、もう悪戯しないから起き上がって、Marlon」

そう言いながら手を差し伸べると僕を起き上がらせて向かい合わせに座った。僕は負けた悲しさから首をうなだれた。

「僕が負けたから、僕のクッキーをLisaに3枚あげるよ」

Lisaは僕の頭に付いた草を払いながら笑った。

「いいえ、いらないわ。Marlonは私を捕まえようと頑張ったからそのご褒美。私のクッキーを食べてね。さあ、そろそろティータイムになるから帰ろう。BillとDatが待ってるわ」

そう言って僕の手を引いて立ち上がらせると、少し寂し気に遠くを見つめた。

「少し遠回りになるけど、今日は川沿いに歩いて家に帰ろうね」

そう言って歩き始めたLisaはいつもと違って、ゆっくりとした歩き方。教会の裏手を流れる川には、ボートが何艘も上流を目指し上ってゆく。ボートの中からこっちを見て吠える犬の姿。

上流を目指すボートの中から、手を振る僕らに楽しげに手を振り返してくれる家族の姿。暖かい日差しに、草むらに横たわって本を読む人。会話を楽しんでいる家族や恋人達。僕には見慣れた光景だった。しかしLisaは、

「Marlonはいいな~。こんな素敵な街で暮らせるなんて」

と寂し気に言った。僕にはLisaの気持ちが分からないけれど、この街の冬の寒さを知っている僕はLisaに伝えた。