【前回の記事を読む】「△エマー発生:こちら護衛車両。トマホーク巡航ミサイルが強奪された! 敵は現在逃走中!」「位置は…特定できません…。」

第一章 トマホーク強奪と裏切り

裏切りの兆し

ヘリコプターが夜の海の上を飛行している。後方に広がる漆黒の海面は、月光に照らされて微かな光を反射していた。

CH-47チヌークは、最初の目的地である外海に向けて、襲撃チームを無事に搬送し終わる予定だった。彼らはコンテナを海上の貨物船へと移し、そこで最終的な手続きと積み替えを行う計画だった。

機内では襲撃メンバーが無言で席に座り、周囲の状況を警戒している。車両から解放されたトマホーク巡航ミサイルのコンテナは、ヘリの下部にしっかりと吊るされ、飛行中の揺れにも耐えられるように固定されていた。リリーがモニターを確認し、地図上で進行ルートをチェックしている。

「あと25分だ」ウルフが静かに言う。「その後、無事に脱出完了だ」

しかし、リリーの表情はどこか硬い。「確認して! 先方からの連絡がない」

その言葉に反応して、グリムが目を細め、無線機を手に取る。「船の進行状況をチェック」数秒後、無線がやっと反応し、耳に入ってきたのは普段とは違う、急かしたような焦りのある声だった。

「遅れている……」

それは、襲撃チームが信じていた協力者からの声ではなかった。

「何だ、それは?」グリムが無線機を見つめながらつぶやいた。

次の瞬間、チヌークヘリコプターの機体が突然揺れた。強烈な衝撃が機体を横に押しやり、座席に座っていた襲撃メンバーは皆、一斉に反応した。リリーは即座に操縦士に向かって叫ぶ。「何が起きた!?」

パイロットの声が冷静に返ってくる。「船からだ。ロケット弾が直撃しそうになった」

「船から?」ウルフが驚きの表情を浮かべた。「協力者の船だろう?」

だがその瞬間、もう一発の衝撃がヘリの右翼を激しく揺らす。重力が襲撃チームの体を引き寄せ、機内は一時的に混乱の渦に巻き込まれた。何が起きているのか、その時点では誰にもわからなかった。

無線に繋がった声が、今までの協力者ではなく、冷徹な男の声に変わる。「クソッ、気づかれたか?」

その言葉に、リリーの顔色が変わる。

「裏切りだ!?」

その瞬間、周囲の海面が赤く輝き、爆発音が響き渡る。船から発射されたロケット弾が、ヘリの近くを通過し、直後に水面が爆煙に包まれた。海上の巨大な影が迫り、その後に続くのは漠然とした敵意だ。