五輪の成功だけでなく、日本フェンシング協会としては将来を見据えれば人材育成は絶対条件であり、今後国際大会を多く招致・開催していくためにも国際的なスキルを身に付けたDTの存在が不可欠であるのは言うまでもない。そこで英語はもちろんだがフェンシングの公用語でもあるフランス語を専門とし、外交官として国際経験や交渉力を持つ和田が候補者の1人になった。

とはいえ、それまでフランスで自身が試合に出たり、州の審判員資格(エペ)を取得しローカルな公式試合の審判員を務めた経験はあっても運営側はストラスブールで開催された国際試合の手伝いぐらいしか行ったことがない。いくら何でも経験ほとんどなしのままでは難しいのではないか。

協会は、この開催国枠のDTポストを公募し、和田もこれに応募。書類選考を経て5名の候補者に対する面接が行われた。この面接の席で和田は強調した。

「五輪というのは世界最高レベルの選手とコーチが参加する大会なので皆さん国際試合に慣れておられ、競技会運営自体はシンプルなものでしょう。むしろ五輪のDTに求められるのはあらゆる国籍のスタッフや選手等との外国語によるコミュニケーション能力、国内外の関係各機関間における調整能力、そして有事の際の危機管理能力でしょう。これが私の本職です」

競技会運営自体は、カテゴリーが上がれば上がるほど楽です、と和田は笑う。

「一番難しいのは子どもの大会なんですよ。大人と違って何をするかわからない。

フランス人の子どもたちにはお行儀が良くないのがいますから、試合が終わってマスクを取って殴り合いを始めたり、泣きながらケンカしたり。試合中もどこかへ行ってしまって帰ってこないとか、悪気なく反則をするのが子どもなので、それはもう大変です(笑)」

この公募で採用が決まった和田は、国際試合でのDTとしての経験値を高めるべく、日本フェンシング協会から選手や審判同様にさまざまな大会へ派遣された。国内開催の全日本選手権や高円宮杯はもちろん、2019年にトルン(ポーランド)で開催されたジュニア・カデ世界選手権やブダペストで行われた世界選手権など、さまざまな大会へDTとして参加。

試し読み連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。

 

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