【前回記事を読む】相続財産の調査方法と種類が一目でわかる! 相続財産調査を正確に行うために知っておきたいこと

第1章 遺産分割(石塚大介弁護士)

3 遺産の範囲

(8) 社債・国債の評価

通常、債権は可分であることから、相続発生と同時に各相続人に各自の相続分に従って相続されることとなりますが、社債や国債は債権であっても遺産分割対象財産となると解されています。したがって、遺産分割のためにその価額を評価する必要があります。社債・国債には、割引発行のもの、利付のもの、元利均等償還が行われるものがあります。

上場されている社債・国債であれば、遺産分割時における時価が公表されていますので、これを評価額とすることができます。利付の社債・国債の場合は、この時価額にすでに発生している利息を足して、そこから源泉徴収額を控除して評価額を計算します。これについても、公認会計士等の専門家に計算してもらう方が確実でしょう。

(9) 保険

被相続人が保険に入っていたかどうかは、保険会社から送られてくる保険の通知を受領した場合に判明することもあります。被相続人の生前にどのような保険に入っているか確認しておくことが賢明です。

生命保険金は、相続財産に含まない場合と相続財産に含む場合があります。

・特定の人物が指定されている場合

生命保険金の受取人が「相続太郎」といったように特定の人物が指定されている場合、当該生命保険金は相続財産にはあたりません。ただし、受取人が相続人の場合には、特別受益として考慮される例外があります。

なお、死亡保険金は、被相続人の死亡を原因として財産をもらうことになるので、相続税法上は、みなし相続財産にあたります。

・「法定相続人」と指定されている場合

生命保険金の受取人が「法定相続人」と指定されている場合、生命保険金は保険契約に基づき相続人が受領する相続人固有の財産です。相続財産ではありません。

(10) 借金・債務

被相続人の借金や債務に関する情報は、そもそも相続放棄をするかどうかの判断材料になりますので、相続放棄の熟慮期間である3か月以内に速やかに可能な限りで調査をする必要があります。

被相続人の借金については、債権者からの請求や催促があればそれに伴い判明しますので、自宅内の郵便物を調査してください。

請求や催促がない場合であっても、借用書や金銭消費貸借契約書などの契約書面を探すか、被相続人が生前に毎月定期的に特定の人物に対して一定の金額の振込をしていた事実など、被相続人の生前のお金の動きについて調べてみても分かることがありますので、取引履歴を確認してみるとよいでしょう。

相続放棄をしなければ、被相続人の借金も相続することとなりますので、相続放棄をするかどうかの判断のためにも正確な調査が求められます。

(11) 財産目録の作成

相続財産調査が終わったら、その内容をまとめた財産目録を作成します。

財産目録を作成する場合には、作成の根拠になった資料(登記事項証明書、残高証明書など)に基づき、正確に記載することが大切です。財産目録に誤りがあった場合には、相続人の分割協議に影響を与えますので、遺産分割協議のやり直しが必要になることもあるため注意しましょう。